2024年3月19日、日銀は金融政策決定会合にて「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを発表しました。
日銀による利上げはなんと17年ぶりということで、大きく話題になったことがまだ記憶に新しいですよね。
マイナス金利解除は、マンションや一戸建てといった不動産市場において多大な影響を与えることが予想されます。
この記事では、マイナス金利解除が不動産市場にどのような影響を及ぼすかをまとめていきます!
マイナス金利の背景
マイナス金利は、日銀が金融機関に対して預金金利をマイナスに設定する政策のことです。
通常、金利はプラスで設定され、預金すると利子がつくのが一般的ですが、マイナス金利では預金した金額が減少することがあります。
これは、金融機関が資金の貸し出しや投資に回すことを促すことで経済活動を活性化させることを目的としています。
この政策により、企業や個人の借入コストが低下し、消費や投資が刺激されることが期待され、2016年にスタートしました。
マイナス金利解除の不動産市場への影響
①住宅ローン金利の上昇
マイナス金利解除は、金融市場において貸出金利の上昇を意味します。
これにより、住宅ローンの金利が上がり、新築マンションや一戸建ての購入を検討している方々にとっては借入れコストの増加が避けられません。
金利が1%上昇するだけで、ローン全期間にわたる返済総額は大きく変わるため、購入者の購入意欲に影響を及ぼすことが考えられます。
ちなみに、ローン借入額や返済期間、金利タイプなどによっても異なりますが、3,000万円の住宅ローンを金利1%で35年間かけて返済していく場合、金利が1%上がるだけでなんと約600万円も支払い総額が変わってくるんです。
金利が上がっても支払い額が変わらない「固定金利」の方が良いのでは?という主張もありますが、これまでの金利動向を見ると固定金利が変動金利よりも優位になる可能性は低いと言えます。
最近は住宅価格もかなり高騰しているので、住宅ローンの金利が上昇するとWパンチで苦しくなってしまいますが、金利タイプを適切に選択することや頭金を増やして借入額を減らすことなどで資金計画を工夫することが大切です。
登録者数10万名突破!住宅ローン比較ならモゲチェック②不動産価格の調整
低金利環境は、不動産価格の上昇を支える要因の一つでした。
金利が上昇すると、それに伴い不動産の収益性が低下し、価格の再評価が行われる可能性があります。
特に、高値で不動産を購入した投資家は、資産価値の下落に直面する恐れがあります。
しかし、現在はウッドショックやロシア・ウクライナ戦争による資材高騰や人件費高騰などの影響もあり、直近2〜3年間で不動産価格はバブル並みに高くなっていますが、世界的に見ても日本の不動産価格は安い方であり、海外投資家によるニーズも高いので、まだまだこのバブルは続くと思われます。
また、マイナス金利解除は建設業界にも影響を及ぼします。
資金調達コストの上昇は、開発プロジェクトの費用増加につながり、結果としてマンションや一戸建ての建設コストや販売価格に反映されていきます。
これらの理由から資産価値が暴落することは今はまだ考えにくいですが、不動産の需給バランスが崩れれば暴落リスクがあることもあらかじめ認識しておくことが重要です。
③賃貸ニーズの増加
住宅ローンの金利上昇は、家を買うことよりも賃貸することの魅力を高める可能性があります。
マンションや一戸建てを購入する心理的・金銭的ハードルはさらに一段上がることでしょう。
賃貸市場における需要が増加すると、賃料の上昇につながる可能性があります。
長期にわたる低金利環境に慣れた日本の不動産市場にとって、この変化は大きな影響をもたらすことでしょう。
住宅ローンを組んで購入すべきなのか、住宅ローンを組まずに借りるべきなのかは、どちらも月々支払い額に落とし込んで試算してみるのがわかりやすくてオススメです。
④投資行動の変化
不動産への投資は、他の投資商品と比較して相対的なリターンが低下することが予想されます。
これにより、不動産投資家はより高いリターンを求めて他の金融商品に目を向ける可能性があります。
また、不動産投資のリスク評価が厳しくなり、資金の流入が少なくなるとともに投機的な需要が減少し、不動産市場が鈍化することも考えられます。
⑤地域差の拡大
マイナス金利解除の影響は、地域によって異なります。
経済成長が続いている都市部や人口が増加している地域では、不動産市場への影響が限定的である可能性があります。
このような地域では、海外の富裕層が一括キャッシュで不動産を購入するケースも多いため、マイナス金利の影響を受けることがありません。
一方で、人口減少や経済活動の縮小が見られる地域では、不動産価格の下落が顕著になるかもしれません。
すでに新築マンション市場では地域差が出始めているので、一戸建て市場や中古市場にもその流れが続く可能性は高いでしょう。
マイナス金利解除は、不動産市場に大きな影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
金融コストの上昇は、不動産価格の再評価、賃貸市場への影響、投資行動の変化などを引き起こすことが予想されます。
これから変化していく金融環境に対応するためには、慎重な戦略と柔軟な対応が必要です。
不動産市場は、様々な要因によって形成されます。
マイナス金利解除はその1つに過ぎませんが、その影響は短期間ではなく、中長期的な視点で考えることが大切です。
不動産購入や投資を考えている方々にとって、これからの市場の変化を見極め、適切な対応策を講じるようにしましょう。